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Chapter 1133 - アイハル配信中:Part.2


そして、長(・)い(・)長(・)い(・)時(・)を(・)経(・)て(・)。

『────以上が、私の叔父であり『Outer Brain』研究の権威として知られる富成幸明の見解を交えて導き出した現状の結論。……いまだに未知を体現する不明技術に対しての恐ろしさを、どこまで重く捉えるかは人それぞれだと思うけれど』

「とりあえず俺たちは、呑み込む(・・・・)側に回ると決めましたってな具合だな。暢気だとか危機感欠如だとか言われるかもしれんけど、ぶっちゃけ今更だろって話で」

まずは当然のこと。事情説明は『そこ』から始まり、今へ至り了となった。

埒外の時間加速、記憶の喪失、そして終了後の休眠強要。一つ残らず過去の俺たちに……いや今もなおと言って然りだが、恐怖と不安を齎した理解不能事象。

それらを『専門家の見解』および『今更のこと(・・・・・)』を改めて理路整然と並べていくことによって、納得できなくもない思考の動線を示した形だ。

……なお、理路整然と並べたところで一つ一つが意味不明な点に変わりなく。

「んー……まあ、うん」

『おおよそ予想通りの反応、ね』

コメント欄、つまり世間の反応は俺たちの予想通り。

その大部分が『?』に埋め尽くされつつ、残りを楽観的な意見と怖れを消化しきれない意見、そして「今すぐ幸明氏の研究室(ラボ)に参加されては如何か?」と思ってしまうような、IQ高めの上位者連中による考察で三分される状況となっていた。

Asheの言う通り、人それぞれ(・・・・・)。コレに関しては俺たちが決定を誘導して良い問題ではないため、各々で考えて結論を出していただければ幸いだ。

────と、そんな中。

これまた予測通り求(・)め(・)て(・)い(・)た(・)質(・)問(・)……つまり『こんなん勝手に公開しちゃって大丈夫なんけ?』という至極もっともな疑問を目が拾い上げた折。

普通に俺たちを心配してくれての意見なのだろう。嬉しい限りと思いつつ、

「ちなみに、コレを公開してアレコレ意見を述べる許可(・・)は貰っておりますゆえ」

『ん。他ならぬ四谷開発から』

用意していた解答を二人で返せば、まーた至極しっちゃかめっちゃか。

先の説明と併せて公開した俺の入院案件を踏まえて、開発運営との関係性を問う声などが一斉に、わんさか世界中から吹き上がっていらっしゃるが……。

『単純に、当事者(プレイヤー)として訊ねたら答えてくれた。それだけよ』

申し訳ないが、そこは必要悪として嘘をつかせていただく所存。

────別に俺たちは『四谷開発』から、開発運営側だからこそ可能な贔屓やら何やらを特別に享受しているわけではない。事実上の後ろ盾として動いているのは四谷ではなく『Shijo Group』であり、これといったズルも存在しない。

特別な点があるとすれば、表上の開発者たちから〝ゲームクリア〟を直々に依頼されたという笑い話。そして何かあった際に直接の質問(・・)がしやすいという立場。

まあ、それくらいなものだろう。隠したとて、世界に対する重大な裏切りと謗られる謂れは……ない、はず。なくあっていただきたいと、切に願う。

然らば────

「まあ、あれだ。質問者が質問者だけにパパッと答えてくれたんじゃないっすかね……ってのは、立場を笠に着た傲慢発言になると思います?」

『……事実陳列罪には問われるかもしれない?』

「今日も世界一自信満々で何よりだよ」

と、裏に意味を持たせれば全てが事実となる戯れで罪悪感を誤魔化しつつ。

「ともあれ、そんなとこです。記憶喪失に関しては……あれだ。消(・)さ(・)れ(・)た(・)と(・)い(・)う(・)よ(・)り(・)単(・)に(・)持(・)っ(・)て(・)帰(・)っ(・)て(・)来(・)れ(・)ナ(・)か(・)っ(・)た(・)、と言った方がマイルドかつ正しいのかなと」

『定かではないけれど、微かに知識として残っている認識に引っ掛かりがある。そ(・)う(・)な(・)る(・)こ(・)と(・)を(・)仄(・)め(・)か(・)す(・)よ(・)う(・)な(・)会(・)話(・)も、失われた記憶の中にあったのかもしれない』

「ほら、俺ら何度も何度も〝誰かさん〟に怒ってたじゃん? 意味深発言ばっかりしやがってーみたいな。アレもつまり、そういうことなんじゃねって。な?」

『ん。消えてしまわない意味ある発言を、どうにかして選んでいただけなのかも』

馬鹿倍率時間加速など他のアレコレは元より超技術を逸した不明存在でもある【Arcadia】の異常性で納得していただくとして、もっと直接的に恐怖を煽るであろう『記憶』に関するフォローおよび考察を追加していく。

なにも気休めで自分その他に対する言い訳を並べているわけではない。

どうせ全てに意味があることなのだろうとArcadiaを信頼した上で、真面目に意味や理由を読み解こうと討論した結果の考察。これが限界だ。

つまるところ、結局は……。

「あとは〝誰かさん〟が帰って来てから、存分に語らせてやろうぜってな」

『……ん、そうね』

どこかへ消えてしまった親愛なる馬鹿者が、いつか語ってくれるのを期待する。

それくらいが関の山というわけで。

『────現状で出し得る結論として、おそらく私たちプレイヤーに作用する危険性はない。専門家および、この配信の公開を許した開発運営の解答は、そうなる(・・・・)』

「信じるか信じないかは、貴方次第です……ってわけだわな」

締め括り、世界の反応をレッツ観察。当然のこと、いまだ『こえーこえー』と言っている声は無くなりはしないが……まあ、行き着く思考は基本的に同じらしく。

流れていく数多の声音を見る限り、少なくとも劇的なプレイヤー減少といった事件は起こらないだろう。そんな予測通りの未来が、映し出されているだけだった。

……とはいえ、

「…………本当に大丈夫かね、この騒ぎ」

『責任を果たすだけ。私たちが心配することじゃない』

「ドライだなぁ……」

当の『四谷開発』様は、暫く各所からの問い合わせ殺到にて爆発必定。

擁護のしようも必要もない当然の結果。Asheの言う通り責任を取るべくして取るだけの形であり、許可が下りたのもソレを踏まえての話なのだろう。

然して────

『日頃の行い、ね。こっちは怖い目に遭わされたのだもの』

「あれ、実は地味に怒り継続中だった感じ……?」

『地味じゃない。ことがことなら〝喧嘩〟だって厭わない』

「四谷vsホワイトとか世界が滅びそうなんで是非に厭っていただきたい」

『……ハル(あなた)のためでも?』

「おい別方向で世界が滅びそうな発言すんな。控えてくれ夜更かし長枠ぞ」

一応の区切りは付いたとて、まだまだ本題はここから。

親愛から来る僅かばかりの情にて我らがシェフに胸中黙祷を捧げつつ、予想を多少なり下回ってくれた荒れ具合に二人揃ってヒッソリ息を零してから……。

「んじゃ、頼むぜAshe。こっからは楽しい(?)話だ」

『ん────アルカディアの世界史考察。改めて、ご静聴のほどを』

長くなった前置きを突破し、夜更かし本番へと進行した。

[Author's Note]
ようやく本題に進めるぞ。進んじゃうぞ助けてくれ。
なお父君に生じるであろう苦労も含めて一応ソラさんにも確認した際、にっこり天使の笑顔で「なにか問題がありますか?」と首を傾げておったそうな。